本は,私たちに「知識」を与えてくれる
大切なものです。

現在は,活版印刷技術によって,
同じ本が大量に印刷できますが,
活版印刷技術が発明される以前の本は,
どのようなものだったかご存知ですか?
世界最古の図書館は,古代アッシリアの
サルゴン王家に属するアッシュール・
バニパル王の図書館だそうです。

この図書館には3万枚の粘土板があり,
その粘土板こそが,当時の本でした。
つまり,文字等の情報が,粘土板に
刻まれていたということですね。

その後は,パピルスに記したり,
羊皮紙に記したりというように,
文字を記すメディアは変わりますが,
多くの図書は書写による生産のため
大量生産ができませんでした。

そうすると,記された知識だけではなく
記したメディアそのものも重要です。
14~15世紀頃のヨーロッパの図書館では,
本に鎖を付けて管理していたそうです。

このように「知識」は,
古代から近世に至るまでの長い間,
時の権力者に支配されてきました。

このような話を聞くと,
「知識」には非常に大きな価値があると,
改めて,実感できますね。

15世紀になって活版印刷技術が発明され,
本が大量生産できるようになりました。

近代以降は,本に印刷された文字等で
「知識」が庶民の手に渡るようになります。

粘土板とはいえ本は紀元前からあるのに,
庶民が知識を手にできるようになって,
まだ600年ほどしか経っていないことに
少し驚かされます。

こうして私たちは,貴重な「知識」が
簡単に手に入るようになりました。

なのに,今の大学生のうちの過半数は,
月に1冊も本を読んでいないそうです。

何だか,もったいない気がしますね...

さて,私たちにとって必要なものは,
マネジメントの知識でしたね。
そして,私たちの職場は学校ですから,
教育課程の知識も必要です。

2018.12.14におこなわれた,
宮城県事務職員会役員研修会において,
講師の日渡円兵庫教育大学大学院教授は,
事務職員は,教員とは異なる視点に立ち,
事務職員なりの教育課程観をもつべきだと
話されました。

教員とは異なる視点といっても,
それは,単に,予算がある・ないという
視点ではありません。

例えば学習指導要領を読んでどう思うか,
教育活動にどれだけの費用対効果があるか
といった,行政的な視点のことです。

「知識」が簡単に手に入る時代です。
学習指導要領も身近にありますよね。

今までとは違う視点で,
もう一度,読んでみませんか?

【参考文献】
◇安藤勝「図書・図書館史」近畿大学通信教育部(2012年)
◇齋藤孝「日本の国語教育はかくあれ」『致知2019年1月号』致知出版社(2018年)
◇日渡円「学校事務のスタート」『学校事務2018年1月号』学事出版(2018年)
◇第53回学生生活実態調査の概要報告(全国大学生活協同組合連合会)(2017年調査)
https://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html