各校では,そろそろ年度末反省や,
次年度計画がスタートする頃だと思います。

この時期,私は,新年度への希望と共に,
何やら残念な思いをもちつつ,
とても複雑な気持ちになります。

それは,なぜだと思いますか?
答えは,次年度予算の要望を,
もう,とっくに提出しているからです。

次年度予算の要望は,多くの自治体で,
10月~12月の間に提出していることが,
宮城支部の調査で分かっています。
(宮城県内の調査です。)

つまり「来年は,こんな教育がしたい」と,
夢や希望をもって計画を立てたとしても,
予算の要望は,もう提出済みですから,
その夢や希望を予算に反映できないのです。

まぁ,次年度の教育計画が決まる前に
予算の要望を出させるのは,どうなの?
とも思うのですが,仕方ありません。

自治体の次年度予算は,1月~2月の議会で
決まりますから,変えようがないのです。

私たちは,教育活動と予算のサイクルに
このようなズレが生じていることを
指摘してきました。

でも,議会の仕組みを変えるのは困難です。
ですから,今は校内の仕組みを変えるしか
方法がないというのが現状です。

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新学習指導要領では,「カリキュラム・
マネジメント」という言葉が
クローズアップされています。

カリキュラム・マネジメントについて,
天笠茂千葉大学特任教授は,
次の3点をポイントとして挙げています。

1.教科横断:教育課程全体で取り組む課題
2.PDCAサイクルの確立:授業を振り返る
3.ヒト・モノ・カネ・情報・時間の再配分

カリキュラム・マネジメントも
「マネジメント」である以上,
ヒト・モノ・カネ~といった経営資源を
活用することが求められるわけですね。

実は,私たち宮城支部では,
平成24年度の全国大会茨城大会において,
ある提案をしています。

それは,学期や単元のように,
短い期間で教育活動の評価をすれば,
このズレを少なくできるというものです。

しかし,あれから5年以上経ちますが,
問題解決に向けた取組は見られません。

取り組まれない要因は様々ありますが,
この問題を放置していたら,私たちは,
「つかさどる事務職員」には,
なれないような気がします。

宮城支部が過去に提案した方法以外にも
解決する方法はあるかもしれませんので,
皆様も,勤務している学校に合う方法で,
教育活動のサイクルと予算のサイクルの
ズレを埋める方法を考えてみませんか?

教員は,予算と教育活動がリンクすると,
今までできなかった指導法を
実践できるかもしれません。

また,費用対効果の低い指導法を,
費用対効果の高い指導法に
変えることができるかもしれません。

このように考えていくと,
カリキュラム・マネジメントには,
間違いなく,事務職員の活躍の場があります。

「つかさどる事務職員」の名にかけて,
この問題解決に取り組んでいきましょう!

【参考文献】
◇「教育課程の編成・実施をサポートする学校財務の在り方―教材一覧の作成と活用―」『第44回全国公立小中学校事務研究大会(茨城大会)研究集録』全国公立小中学校事務職員研究会(2012年)
http://zenjiken-miyagi.flxsrv.org/files/44th01.pdf
◇「カリキュラムマネジメントとは:校内研修シリーズ21」独立行政法人教職員支援機構(2018年)
http://www.nits.go.jp/materials/intramural/021.html