ニュースレター宮城支部2018.09.03号では
「教育のICT化に向けた環境整備計画
5か年計画」についてお知らせしました。

実は,この計画で目標とする水準の中には
「統合型校務支援システム100%整備」
という方針が含まれています。
ですから,地教委への予算要望については,
「統合型校務支援システム」の導入も
視野に入れましょう。

統合型校務支援システム
(以下,「校務支援システム」)は,
パッケージ化されたシステムとして,
いろいろなメーカーが市販しています。

ただ,市販の校務支援システムは,
機能面で物足りない感じがします。

そういう場合は,追加料金になりますが,
機能追加や,仕様変更もできますので,
どんどん,要望を出しましょう。
何せ,財源はありますからね(笑)

私は,こんな機能があったら便利だなと
考えました。例えば・・・

1 教育課程と予算が連携した機能

宮城支部が研究に取り組んできたこと,
それは,教育課程管理と教材・教具管理,
そして,予算管理の連携です。

校務支援システムの画面上に表示させた
年間指導計画に,単元ごとに使う教材や
教具も表示されていたら便利ですよね。

在庫がどの部屋にあるか分かったら
もっと便利になりそうです。

また,在庫が少なくなってきたときに,
その画面から購入希望を申請できたら,
教員も事務職員も便利に使えますよね。

そのうえ,単元ごとの評価のときに,
使用した教材の評価をすることで,
次年度の予算要求のデータとして
転用することもできます。

公費会計を手書き処理している自治体は,
このような仕組みを財務会計システムまで
連動させれば,更に便利になりそうです。

教員の立場から考えたとき,
単元で使いたいプリントのひな型を
ダウンロードできたら便利だと思うし,
他の先生にも使ってもらうために,
自作プリント・自作テストを共有できたら
もっともっと便利になりますよね。

2 職員が提出すべき書類を作る機能

自家用車使用登録,復命書,年末調整,
共済・互助会,各種手当関係書類,
履歴書,休暇関係書類などなど...
職員が提出すべき書類は数多くあります。

運転免許証や車検証をスキャンすれば,
自家用車使用登録のデータとして
自動的に取り込めたら便利です。

その中の氏名,住所,生年月日など,
他の書類と共通する部分のデータは,
他の書類にも自動的に取り込まれたら
入力の手間やうっかりミスが減りますね。

後は,追加の必要事項を画面上で入力し,
ミスがないことを確認したあとは,
1クリックでPDF化された書類ができる。

こんなに楽なことはありません!

PDF化すれば,紙で提出するなら印刷し,
メールによる提出が可能ならば,
添付ファイルで送信もできそうです。

その上,自家用車使用登録のデータを基に
車検や免許更新の時期を教えてくれたら,
その親切さに笑みがこぼれそうです(笑)

3 定期的な報告が必要な書類の自動作成

教育課程の進捗状況をはじめ,保健報告,
生徒指導状況,給食の食数など,
地教委への定期報告も数多くあります。

これらは,担当者が日々入力したデータが
自動的に蓄積され,さらに集計されて,
地教委から閲覧できるようにしたいものです。

こうすれば,定期的な報告書を作るために,
担当者が,改めてデータを集計したり,
報告書を作ったりする必要がなくなります。

そのためには,学校と地教委だけでなく,
給食センターも接続する必要があります。

さらに,地教委と給食センターも,
校務支援システムを使う必要があります。

「校務支援」という名称にとらわれずに,
学校教育にかかわる部署がつながれば,
地教委の仕事も効率化されます。

もしかしたら給食費の公会計化に向けて,
地教委も頑張ってくれる!...かもしれません(笑)

4 保護者の利便性もアップ!

個人情報保護の問題さえクリアできれば,
保護者がウェブからデータ入力することで
家庭環境調査票が自動的に完成するでしょう。

また,在学証明書のような証明書類を,
学校のウェブサイトからダウンロードする
システムを作ることもできるでしょう。

小中学校では手数料をいただきませんから
このように考えることも可能なのです。

保護者の利便性がアップすることは,
学校への信頼感アップにつながりますから
これらは,ぜひ,実現させたいですね!

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さて,このようなアイディアは,
案外,誰でも思いつくようなことですし,
技術的にも可能なことばかりです。

別の視点から見てみると,
校内事務が,二度手間,三度手間の上に
成り立っていることも,よく分かります。

早く,改善したいなと思いますよね?

そうすると,次に考えることは,
条例・規則をどうクリアするかです。
ここが事務職員の腕の見せ所です。

私たちなら,決裁権限,公印の取扱い,
印影印刷,公簿の取扱いに関する制度など
校内では,誰よりも法規に詳しいはずです。

どの規則をどう適用させれば良いのか,
あるいは,どう変えれば良いのかが,
きっと分かりますよね?

ですから,校務支援システム要望の際は,

(1) 必要な機能を洗い出す
(2) 地教委と接続した場合を想定する
(3) 規則等の新設や改正について調査する
(場合によっては新設や改正の案を出す)
(4) 財源は交付税措置されている

といったことを念頭において,
私たち事務職員から情報発信しましょう!

そして,私が思いついたこと以外にも,
まだまだ仕事を効率化できるアイディアが
きっとあるはずです。

みんなでアイディアを出し合いましょう!

仕事の効率化で働き方改革できたら,
教員は,子どもたちと向き合う時間を
より充実させることができます。

私たちは,子どもたちの安全と安心を
保つことに力を入れることができます。

子どもたちが笑顔になるためには,
大人が笑顔になることが大切です!

働き方改革は,そのための制度設計で,
校務支援システムは,そのためのツールなのです。

【参考文献】
◇一般社団法人日本教育情報化振興会「ICT教育環境整備ハンドブック2018」
https://www.japet.or.jp/cabinet?action=cabinet_action_main_download&block_id=204&room_id=1&cabinet_id=1&file_id=726&upload_id=1684

◇全国公立小中学校事務職員研究会宮城支部「子どもの豊かな学びを保証する学校経営システムを求めて―カリキュラム経営をサポートする学校予算づくりとは?!システムづくりとは?!―」『40周年記念全国公立小中学校事務研究大会(福島大会)研究集録』
http://zenjiken-miyagi.flxsrv.org/files/40th09.pdf

◇「学校におけるICT環境の整備について」文部科学省,インターネット,2018.8.22にアクセス
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1402835.htm

◇平成30年2月9日付け29文科初第1437号
「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について(通知)」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/__icsFiles/afieldfile/2018/02/13/1401366_1.pdf